異邦人と鳥

とある国で、彷徨いながらもていねいに生きたいと願う異邦人とイン子たちのくらしと回想録

チャーリーがいなくなってから 〜 回想録1:Missing Charlie 〜

チャーリーが日曜日の午後にいなくなってから5日が経過した

屋外捜索を停止したのが水曜日の朝

 

昨日の朝から普段通りの方法でセキセイ軍団のごはんを準備している

 

その時に使う声かけや

それに伴って反射的に言ってしまうチャーリーという名前で

チャーリーがいなくなったことを思い知る

 

屋外捜索中のことはたった数日前なのだけれど

違う時空で起こったことのようだ

 

ふだんの生活リズムに戻ってからは

朝起きた途端に

 

チャーリーがいない

 

という言葉がテレビ番組のテロップ表示のように浮かぶ

睡眠中は何か夢を見ているようだけれど思い出せない

寝た瞬間にいきなり朝になって

 

チャーリーがいない

 

が表示される

 

チャーリーがまだこの世にいる可能性がまったくないわけではない

しかし、ここの冬は厳しい

逃してしまった当日の気温は救いようのある気温だったけれど

翌日は90km・hの強風

翌々日の朝は零下3度

次の日は雨が降った

そしてもちろん雪は常時積もっている

降ってはいなくても

 

今は残された可能性をまだ広告を掲載していないサイトに掲載したり

びら配りができていないところを潰すのみである

 

屋外捜索3日目の朝は厳しかった

防寒をしたと思ったけど体の芯まで冷えた

 

捜索を開始してから休憩は所々入れているが夜明けから12時まで

雪の中を口笛と名前を呼びながら歩き

ポスターを作り

サイトに広告を掲載し

インコグループと連絡を取り

地域の動物愛護組織と連絡を取り

友達と連絡を取り

などふだんと違うことを強烈な悲しみを抱えながら

行ったことでの

疲れのせいかもしれないと思った

 

チャーリーはでももっとしんどいし怖い

 

夜になってじぶんが暖かい場所で眠れることがやりきれない

空腹感はなくても食べるごはんがあることがやりきれない

 

でも捜索には体力がいるから眠ろうとする

けど眠れない

 

食事は体温が維持できる程度に摂るだけで良いが

睡眠はかなり重要である

 

それはいいとしても

 

チャーリーが飛び立ってしまった時の恐怖を思うと

もうじぶんの体のどこかが痛くなってほしいと願った

しかしそれではチャーリを探せない

 

チャーリーを探せるのは自分しかいない

 

そう思って奮起するがロスト24時間を過ぎてからは

屋外の自然の厳しさを感じるたびに

絶望的な気分になる

 

あきらめたくないのに気力が途絶える

そんなときは

動物愛護団体の組織の人々や

インコグループの人々

友達などと話すことでモチベーションを維持する

 

ビラ配り中にはなした人々、特に犬の散歩中のひとは

状況を説明せずともよくわかってくれたので

話してビラを配ることで気力がわいた

思わず泣いてしまった

 

ネットに掲載した広告を見て電話やメッセージをくれた人もいた

 

気力が体力であることを身をもって感じた

 

屋外捜索中はチャーリーと名前を呼ぶだけで涙があふれた

叫び声はふだんとちがうと思ったこともあり

あるくときは口笛でいつものふなふなふなっしーのイントロ部分をふいた

もちろんチャーリーはその節を上手にうたえる

 

でもチャーリーの気配はどこにもなかった

 

インコ110番の人がくれたプロトコルに従って捜索活動をした

すべてを完璧にはできなかった

もしかしたら遠くを探しすぎているかもしれない

もっと近くにいるかもしれない

方向がちがうかもしれない

やっぱりもっともっと遠くに行っているかもしれない

 

途方に暮れた